農業や建設などの野外業務が多い分野だと、社員それぞれが自動車免許を持っていることを雇用主の方も求める事が多いのではないでしょうか。農業などで田舎勤務の場合、通勤手段として車があると、アパート探しも楽になったり立地の良いところも選べるので、生活環境も改善と選択肢の幅が広がります。
しかしながら、外国人が国内にて日本人同様に教習所に通い実技を習得し、免許センターへ行って筆記試験に合格となると、言葉の壁が大きく、かなり難しいです。N2レベルの者なら(再試験はあるものの)合格は聞きますが、特定技能外国人が来日間もない状態の日本語レベル(N4やN3)では、試験以前にテキストを読んだり実技訓練での指導についていくのが難しいと思われます。
そこで、「外国免許の切り替え(書換)」をする方法です。
在住している各都道府県の免許センターにて受け付けており、海外の免許証を日本の免許証へ書き換える手続きが可能です。今回はその流れについて説明いたします。
特定技能外国人として採用され来日したネパール人の実例をもとにご紹介します。本人の個人情報等は一切含みませんが、三重県で取得しているので、ネパールで免許取得・三重で切替の情報がベースになりますが、基本は全国共通です。
※ なお、各地域の免許センターで、若干の内容が異なる場合や変更している事もあります、必ず該当の免許センターに電話をし確認してください。また、当ページの内容は、外国人が日本の免許を取得できることを確約するものではありません。
外国免許証の切り替えとは?
外国人に限った話ではなく、留学などで海外に一時住んでいた日本人が、現地で免許を取得し帰国後に書き換える手段として以前から存在しています。(海外に行けば、逆に日本の免許を現地国の免許証へ切り換えもできます。)
なお、免許証は現地で取得した物を基本として切替になります。海外のバイクの免許を、日本の車の免許に切り替えは出来ません。海外でマニュアルで取得していても、国内オートマ限定へ申請は可能でした。
なぜ切り替えるのか?
一部の国から来た人の場合、国際免許証があります。しかし、国際免許証は有効期限が1~2年となっていて、更新は各国に戻る必要があります。更に、日本の法律で国際免許証で自動車等を運転できるのは、日本入国日から最大1年間と決まっています。
特定技能1号は最大5年、2号なら永住も視野に入ります。そのような場合、海外へ行ったり来たりや現地国で再発行等で免許証を再有効化は出来るとしても、時間もお金も無駄です。
国際免許は発行できる国が決まっています。ネパールとミャンマーでは発行できません。来日して免許取得に時間がかかるので、その間運転が出来るので便利ですが、免許の切り替えには国際免許は不要です。
また、当然ながら海外と日本では法律が違います。特に左ハンドルの地域の人も多いので、免許証をとることで、免許センターにて一定の運転能力のお墨付きをもらうのは、安全面でも良いことですよね!
切替できる人は?
外国免許証からの切り替えには条件があり、滋賀県警では「切替手続ができるのは次の方です」として、次の事が最低条件として記載されています(全国共通です)。
- 外国の運転免許証が有効なものであること。*有効期間内に合格することが必要です。
- 外国の運転免許証を取得後、その免許証を発給した国に3ケ月以上の滞在期間があること。
特に注意したいのが、「外国等で運転免許を取得後、その免許証を発給した国に3ケ月以上の滞在期間があること」です。これは、海外短期旅行で免許証取得的な行為を排除するためかと思われますが、運転免許を取得後、3か月以上となっており、特定技能外国人の場合でも就職先決定後に、現地で免許試験合格だと出国タイミングに注意が必要になります。
滞在期間の証明は、免許証の発行日やパスポートの出国スタンプなど、あるいは追加書類なども含め判断されます。滞在日数が数日足らないので受験資格なしとならないように計画的に行う必要があります。
確実なのは、免許証の発行日から3か月以降にのみパスポートの出国スタンプがある状態にしましょう。※日本の入国スタンプではありません。免許証を取得した国の出国スタンプです。もし米国等の出国スタンプが無い地域からは別に証明できる書類が必要です。
逆に、長く滞在していて免許証の有効期限が切れていても切り替えができません。更新も忘れず行い、更新した場合は(3か月を証明するため)古い免許証かその他書類(免許履歴など)の用意が必要です。
切替にあたっての試験・確認
切り替えにあたり、書類確認とインタビュー(書類作成)、適性確認・知識確認・技能確認の4つが実施されます。※予約制
必要な書類が多数あり揃えた上で予約して訪問します。インタビューは、免許センターの職員から、本当に免許証を海外で合格し取得したかを確認のためで(海外では偽装IDとして売っている場合があり)、現地での試験内容・運転の練習についてなど、かなり詳しく聞かれつつ申請書類を作ります。そのため、インタビュー時に通訳が必要です。
適正は、視力検査などになります。
知識確認は、10問程度の筆記試験でした。試験問題は一部の言語には翻訳されていますが、免許センター毎に翻訳対象の言語が異なります。例えば、2023年時点でネパール語は三重県は翻訳がありましたが滋賀県にはありませんでした。また翻訳が無い場合、通訳同席が可能な場合があるので免許センターへ確認してください。
三重県の場合は、上記3つ(インタビュー~適正・知識確認)を1日で行い、別途予約し実技試験となりました(多くの地域で同様のようです)。最大の難関である免許センターのコースにて、試験官同乗での技術確認(実技試験)が行われ、晴れて合格すると、日本の免許証が発行されます。
なお、警視庁(東京都)の発表では、次の国・地域の場合、一部試験が免除となります。が、残念ながらアジア圏は台湾・韓国しか試験免除対象はありません。特定技能外国人が多い国々であるネパールやミャンマーを含むアジアからの人たちは、すべての試験合格が必要です。
・知識確認、技能確認を免除する国等(29か国等) |
アイスランド、アイルランド、アメリカ合衆国(オハイオ州、オレゴン州、コロラド州、バージニア州、ハワイ州、メリーランド州及びワシントン州に限る)、イギリス、イタリア、オーストラリア、オーストリア、オランダ、カナダ、韓国、ギリシャ、スイス、スウェ-デン、スペイン、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ニュージーランド、ノルウェ-、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、モナコ、ルクセンブルク、台湾 |
・技能確認を免除する国等 |
アメリカ合衆国(インディアナ州に限る。) |
切替にかかる期間/時間
運転免許証の切り替えにかかる時間ですが、全部を1日では無理です。数か月を目安にしましょう。
まず、初回の受付のための予約が必要です。1~2か月先しか空いていない事もあります。そこで申し込みや適性試験を受け合格したら、実技試験の予約となりますが、再度1~2か月先の場合もあります。
そして、実技試験は1発で受かる事はまず無いと免許センターの方が仰っていました。数回受けて合格が多く、免許をとってすぐ来日や、自国が右側通行などでで慣れない者は更に回数が必要です。
以上のことから、書類集めから考えると3~6か月程度は考える必要があります。それでも特定技能の任期よりは短いので、受かっておくと便利です。
切り替えにかかる費用
切替には、受験手数料と交付手数料が発生します。数千円程度です、各免許センターで確認してください。なお、実技試験に不合格で再試験時は受験手数料が再度発生します。落ちることを繰り返すとそれだけお金がかかります。
また、主要な免許センターにて実施で、警察署や出張所等では実施されていない事もあり、さらに実技試験で何度も行くので交通費も馬鹿になりません。免許センターが遠方の地域の人は注意が必要です。
自動車教習所で練習をする場合は講習代も発生します。1回数千円~1万円程度で、免許を新規で取るような、何十万円はしません。講習を受ける方が、最終的に交通費出して免許センターに何度も行くより安い可能性もあります。
免許切替までの流れ
ここからは免許証切替の全体の流れを説明します。
現地での免許所取得と3か月以上の滞在
まず兎に角、現地での免許証の取得が必要です。国によって免許証の試験の難易度は異なりますが、正規に取得することが絶対条件です。
免許証が発行されれば、免許証を確認し発行日の記載があるかなど確認しつつ、3か月滞在をします。この3か月間は、有効な免許があるので堂々と運転も可能です。経験不足の場合は、しっかり練習し車に慣れる時間です。
特に一部地域の免許取得用の車は、スイフトやヤリス等小型クラスを使用することもありますが、日本ではクラウンやコンフォートなど大きめの車です。可能なら大きめに慣れておくことも大事です。
外国人転入地域(予定含む)の免許センターを見つける
情報収集を含め、Google等で「○○県 外国免許証 切替」で検索をし、該当都道府県の情報と連絡先をみつけましょう。このページ最下部に、東京都・三重県・滋賀県のリンクを用意しています。
情報をウェブサイトで発信していない県もあります。必要書類は基本全国共通ですので、警視庁(東京都)のサイト等を参考にしつつ、各免許センターへ電話で確認がおすすめです。
免許の切り替えは、全国どこでも出来るわけではありません。住民票を置くところになるので、来日前でも、予定の該当都道府県の免許センターへ連絡や質問をします。
警視庁は全国組織ではありません、東京都の警察ですので、資料を参考にしても連絡先としては東京都在住者向けです。
必要書類の準備
必要書類を準備を進めます。現地で発行が必要な物もあるので、海外に居る間に始めます。
- 外国の免許証(有効なものに限る。)
- その免許の翻訳文
- 申請用写真
- 新旧パスポート
- 本籍(国籍)の記載された住民票
- 身分証明書、外国籍の方は在留カード
- 日本の免許証がある方は日本の免許証(期限切れを含む。)
- その他追加書類
上記は三重県警が発表の必要書類の一覧ですが、基本的に全国共通です。その他の書類については、警視庁(東京)が各国毎の必要書類一覧(pdf)を出しているので、参考にすると良いです。
例えば、ネパールからの場合は「Driving Record with MOFA Stamp & Embassy in Tokyo StampとLicense Holders Details(いずれも本国)」が必要となります。本国でしか発行できなかったり本国の行政機関の押印が必要なので来日前に準備をします。
免許の翻訳文はJAF(日本)で依頼が可能です。例えば、本人から免許スキャンデータをメールでもらえば、(本人が海外にまだ居ても)所属機関や登録支援機関の住所に翻訳文を送るように依頼をすることもできます。※指定機関での翻訳が必要なため、Google等機械翻訳や登録支援機関の社員が翻訳ではダメです。
電話で確認・予約
必要書類のめどがついたら、免許センターへ予約を入れます。住民票のある地域の免許センターになるので、在留カード記載のところまたは予定の場所に電話します。
予約が1~2か月先の場合もあります。早めに予約を入れ、変更も受け付けてくれます。無断キャンセルはやめましょう。当然ながら予約時の名前連絡先は残っていますから。
しかし、ドタキャンをする人間も居るようで、免許センターによってはキャンセル待ちも受付ています。三重の場合、予約をしたうえで、それより前の日にキャンセル待ちが可能ですが、免許センター開店時間に行く必要がありました。
免許センターにて試験
どこかの政治家が免許センターに失効免許の再交付の為に(自分で運転して)車で行ったとかニュースでありましたが、国際免許がない場合は、公共交通機関で免許センターへ訪問です。
特定技能外国人が単独ではインタビュー時に正確に回答するのが難しい可能性が高いので、初日は必ず通訳が同行します。実技試験後に評価や説明を試験官が教えてくれるので、毎回通訳が居てもよいです。
申込・適正試験と知識確認を行い、別の予約で実技試験となるので、既に就職済みの場合は、あらかじめ所属機関と相談し1~2か月先の予定も確認してから訪問をおすすめします。
すべての試験に合格すると免許証の発行です。現地免許を取得しすぐに来日してきた人は、日本人同様に初心者マークをつける義務があります。違反になるので、百均で忘れず購入しつけましょう。
初心者マークの効力は絶大です。みんな避けてくれます。不慣れな運転でも、煽られたりクラクションを鳴らされたりも確実に減ります(場合によっては違反ですからね)。
絶対着けましょう!!
試験対策・練習は?
インタビューや適性試験に対策はありません。インタビューについては現地での免許取得が昔過ぎる場合は、プロセスや練習場所についてを思い出せるように情報を整理しておくぐらいです。
実技試験は、残念ながら教材や資料はありません。下記の各県の参考資料先のウェブサイトも(当時試験前に)つぶさに確認しましたが、ありませんでした。ただ、受験した者に確認したところ、非常に基本的な内容だったと言っており、実際試験官からは満点でしたと報告もありました。
自動車学校へ行こう!?
最大の難関である、実技試験は練習なしではかなり厳しいです。試験風景を見に行きましたが、運転技術より安全確認行為がすごく見られている感じでした。要は外国人は普通知らないし、知らない限り受からないです。
運転歴が長い人なら、数回試験を受けつつ覚えるのも手ですが、自動車教習所で、ペーパードライバー講習と似た形で1回数千~1万円など(学校により)で、免許証切替者向けの運転講習を行っているところがあるので受講をお勧めします。
また国際免許がある場合は、一般道での運転も可能ですが、慣れないうちは学校のコースで練習が安全ですし、試験の評価ポイントを知るのなら、(素人予想ではなく)教習所か、免許センターで試験を複数回受けるしかありません。
当社では、運転免許を応募条件に入れての特定技能外国人のご紹介も受け付けております。まずは下記よりお問合せください。
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※ なお、各地域の免許センターで、若干の内容が異なる場合や変更している事もあります、必ず該当の免許センターに電話をし確認してください。また、当ページの内容にて、外国人(当社紹介人材含む)が日本の免許を取得できることを確約するものではありません。
参考資料
今回、当社が実際に参考にした警視庁(東京都)および三重県警察の情報をもとに記載しました。警視庁が詳しい情報を出しているので参考にしつつ、更に各都道府県警察のサイトで調べるか、免許センターへ電話して聞いてみるとよいです。(ただし、当然ながら海外の各国の情報を聞いても答えてもらえません。)
- 警察庁(全国):外国の運転免許をお持ちの方|警察庁Webサイト (npa.go.jp)
- 東京都:外国で取得した運転免許証を日本の運転免許証に切替えるには 警視庁 (tokyo.lg.jp)
- 三重県:外国免許から日本免許への切り替え関係|運転免許手続|三重県警察オフィシャルサイト
- 滋賀県:外国の運転免許証から日本の運転免許証への切替手続|滋賀県警 (shiga.lg.jp)
Google等で「○○県 外国免許証 切替」で検索すると、各都道府県情報が見つかります。見つからない場合は、受験予定の都道府県の免許センターを検索し電話しましょう。